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テレフォン説法第十七回
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2008.06.03 テレフォン説法

テレフォン説法第十七回

 テレフォン説法第十七号(昭和五十八年五月)
 
真楽寺のテレフォン説法第十七回をお送りします。
私の中学時代からの親友にS君が居ります。彼は現在の不況下にも拘らず、素晴らしいアイディアで会社を経営し、立派な成績をあげて活躍しています。彼の事業所へ行くと壁に掲げてあるのが、「三つの貯蓄」というスローガンです。
第一が「信用の貯蓄」 第二が「健康の貯蓄」 第三が「お金の貯蓄」です。
S君が言うには、世間ではお金儲けに汲々としている人がいるが、僕は信用を得るために最大の努力を傾けている。信用があって健康で働けば、金は自然に入ってくる。どんなに働いても、世間の人が信用してくれなければ成果は上がらない。その意味で人間関係ほど大切なものはないし、その信用を貯める事が第一である。
この目に見えない信用こそ、総てを生み出す基であって、又これほど頼りになるものはない。然も信用は一度失ったら回復は大変むずかしいもので、常に緊張していなければ崩れてしまう貯蓄である―これがS君の信念です。
終戦の翌年、中国からリュック一つを背負って復員した私は、沼津駅に着いて唖然としました。沼津の街は一望千里の焼け野が原で、駅のホームから千本松原が何の遮るものもなく見えます。私の寺も勿論焼き払われて、僅かに礎石が残っているだけでした。
当時の私は天涯孤独というか、「親も無く妻も無く子なく版木なし、金もなけれど死にたくもなし」の六無齋そのままの姿でした。
その何もない処にただ一つ残されていたのは、真楽寺住職という無形のものでありました。形がないために火にも焼かれず、水にも溺れなかったのです。クモの糸のように、これにしがみついて生き延びることが出来ました。「形あるもの必ず滅す」これは仏教の鉄則です。形のないものの方が、却って実在に近いのかも知れません。
第二の「健康の貯蓄」 これは中年以後になると身にしみて感じます。仕事のためには無理を承知でハードスケジュールをこなさなくてはならない時もありましょう。健康は人生の土台です。人間の幸、不幸も健康に左右される場合が多いようです。
例え病気をしても、体力の蓄えがあれば比較的軽くて済むでしょう。生命に直接関わるものだけに、この「健康の貯蓄」は平生から心がけなくては出来ません。金で買うことの出来ないのが健康です。そのためには、食べ物・摂生・運動・精神衛生など、様々な要素のバランスが必要になってきます。
健康は自分自身でつくるもの、筋肉を強くするには、筋肉を使う以外に方法はありません。いくらそれに関する本を読んでも、講演を聴いても役には立たないでしょう。どんな優秀な人でも若死しては事が成就しません。永生きも成功の一つだと思います。
三番目の「お金の貯蓄」これは今さら申すまでもありません。ただお金はあくまで行為の結果であって、前の二つ、信用と健康に基く努力を忘れた人の所へは、お金は中々集まってくれそうもありません。
人生の大をなした人で、金だけを目的にした人は少ないようです。
銀座を歩いていれば一億円ひろうことも、たまにはあるかも知れませんが、信用と健康は道ばたに落ちているものではありません。