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“Report”from ASAHI第十七回
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2008.07.30 "Report"from Asahi

"Report"from ASAHI第十七回

”Report“From Asahi No:16「靖国神社」
 
 2004年の元旦の正午過ぎ。正月から「自衛隊50年」の企画が始まり、年末年始と休みがなかったが、1月2日だけは新聞の発行がない。うるさいデスクからの電話がかかってこない間に急いで田舎の親に会ってこようと、東京の自宅で身支度をしていた。
 そのとき携帯が鳴った。知り合いの韓国大使館の外交官からだった。「元旦からオフィスに詰める羽目になりました」。流暢な日本語を操り、彼は苦笑して言った。「小泉さん、またやってくれましたねえ。本国に急いで状況を報告しなくっちゃ」。
 小泉首相はこの日、靖国神社を参拝した。韓国政府はたぶん、反発するだろう。友人の外交官は、その韓国政府の公式対応のために情報収集に走り回っていたのだった。
 小泉さんが靖国参拝を周囲に伝えたのは、当日の午前9時。「やるかもしれない」という予測もなったが、秘書官5人もあたふたと駆けつけるほど、突然の参拝だったという。
 首相になって4回目の参拝だが、どんどん意固地になっているように見える。そもそも小泉さんは「カッコよさ」を大事にする人だといわれる。人に言われて、自分の考えを変えることを極端に嫌う。昨年の内閣改造で川口外相の交代が囁かれた。周囲が「絶対に交代だ」「民間人なんてもう要らない」と騒いでいたとき、小泉さんは「絶対に代えるもんか。周りが騒ぐほど、ほくそえんでいた」という。
 韓国や中国が「参拝は外交関係を損なう」と異を唱えれば唱えるほど、ムキになる。それどことか、「終戦記念日と日をずらして参拝したのに、こっちの配慮を理解しないとは何事か」と逆ギレする気配さえ見せている。
 こんな騒ぎになっては、靖国神社に眠る方々も迷惑だろう。死を悼む気持ちがいけないとは思わない。しかし、哀悼の気持ちは人に見せつけるものでもなかろう。小泉さんを見ていると、「参拝したい」という気持ちより、「参拝しているんだぞ。こんな俺を見てくれよ」という主張の方がどうしても鼻につく。
 昨年の総選挙。小泉さんと一緒に遊説した政治家が、あることに気がついた。小泉さんが演説を始める。聴衆は熱狂する。でも、熱狂するポイントが他の政治家と違うのだという。
 普通、聴衆は話の中身で反応する。面白く、自分に関心のある話題になれば聞き入り、そうでなければしらける。が、小泉さんには当てはまらない。
 小泉さんの演説に聴衆が反応するのは、小泉さんが絶叫したり、大きく身振り手振りをしたときなのだという。
 「聴衆はね、、小泉さんの話を聞きに来るんじゃなくて、小泉さんを見に来るんだよ」。政治家はため息をついていた。
 巧みな演説で聴衆を熱狂させるカッコつけの政治家なんて、ぞっとしない話ではある。